君の隣で夢みた未来
音楽室のピアノの前で物思いにふけっていたら、再び扉が開く音がした。



「美咲さん！」



私が先生の中で一番心を開いていた人。


本当にお世話になった人。


合唱部の顧問の先生がそこにはいた。



「小花先生ー！」



私は自然と顔をゆるませ、失礼とわかりながらもあの頃のように私と同じ背丈くらいの彼女にハグをした。


彼女は小さな子供をなだめるように、背中をゆっくりとポンポンと叩いてくれた。


2年前と同じリズムで。



「久し振りね。さっきピアノ弾いてたわね？」


「お久し振りです。ここに来るとどうしても弾きたくなっちゃって…ダメでしたかね？」


「大丈夫じゃない？あなたのピアノが心地いいBGMになったわ」



私達は音楽室の中央辺りの席に腰をかけ、職員室でしたようにあの頃の思い出話に花を咲かせた。



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