君の隣で夢みた未来
あたしは花月のお人形みたいな顔をボーっと眺め、購買へ向かった。


お弁当は持ってきたけど、乾いた喉を潤したかった。



「実子、なに買うか決まった?」

「決まった…かな?」

「なにそれ。決まってないじゃん!」

「そうとも言うー!」



何が面白いのかちっとも分からないやり取りで笑えちゃうあたし達。


友達さえ居ればあたしの本物の笑顔は生まれる。


あたし達は決して広いスペースとは言えない購買でよそ見をしながら楽しんでいたのだろう。


ふいに、誰かにぶつかってしまった。



「あ!すみませ…」



あたしが言いかけて顔を上げるとそこには、いつも窓からしか見たことない人がいた。



「大丈夫?」



その人はあたしの目を見て微笑みながら言った。


あたしは、


「はい…」


そう答えるのがやっとだった。



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