君の隣で夢みた未来

今日、出会ったばかりのOGの先輩と知らない先輩と一緒に帰る。


それだけで変に緊張してそわそわしてしまう。


帰り支度もスムーズに出来ない。



「実子ぉ～、まだぁ？」



すでに支度を終えている花月があたしを急かす。


なんだか目が輝いているようにも思えた。


…いいなぁ。


人見知りしなくて。


あたしはなんとか支度を終わらせて花月と一緒に先生や先輩に挨拶をして、音楽室を後にした。


タンタンタンとリズミカルに階段を下るあたしたち。


美咲さんは既に駐車場へ向かっていた。



「実子がおっそいからさぁ～、美咲さん先に行っちゃったよ」



花月はわざとそんな風に意地悪く言ってから頬をぷぅっと膨らました。



「…緊張しないの？」


「何が？」


「だってOGの先輩だよ？」


「綺麗じゃん。美咲さん。優しそうだし」



…綺麗なのって関係あるのかな？


あたしは彼女の発言に少し疑問を抱きながらも、下駄箱の靴を取り出し上履きから黒い革靴に履き替えた。