聖女に求婚!?~天使vs悪魔~
木戸先生の告白から3日後。
出勤すると、小児科病棟から私指名の応援依頼が入っていた。
何だろう……?
とりあえずは、周防先生から離れられるし。
少しの時間だけどのんびりして来よう。
小児科病棟へ行くと、実習生向けのカウンセリングの付き添いだった。
主任看護師からメモを渡され、子供を迎えに。
対象の患者は“早瀬稔”くん、6歳。
1か月ほど前に、自宅が全焼し、両親と姉が亡くなったとの事。
あまりのショックで殆ど言葉を発さず、
表情も殆ど変らないらしい。
話を聞いただけで、私の心はキューっとなる。
病室へ行くと、窓の外をじーっと見つめる稔くん。
そっと寄り添い、カウンセリングまでの時間…
なるべく多く話し掛けた。
看護師の話だと、来週にも退院して…
祖父母に引き取られるらしい。
……ダメ……ダメ…。
患者を目の前にして、涙を流しては。
「稔くん、そろそろ行こうか?」
「…………」
稔くんは嫌がる事無く、ただ頷くだけ。