キミの前に夕焼け


桃と2人でキャーキャー言っていると、ブレザーのポケットの中の携帯が鳴った。




取り出して画面をタップすると、メッセージが一件。




受信;綾崎颯



「あっ、颯くんからじゃん♪」



後ろから覗き込む桃に言われ、慌てて携帯の画面を隠す。




「もー、イチャイチャしちゃって!」




《絶対カッコいいとこ見せるから、桜華も頑張って4位とれよ(^^)
あと、気をつけて帰ってな》




本当だね、颯くん。



文字だけじゃ、声が聞きたくなる。



だけど頑張ってる颯くんにそんなことは言えない。




《頑張ってね、楽しみにしてる。
了解です!》



寂しいけど、寂しいって言えない。



気付いてほしいわけでもない。



ただ、キミも同じ気持ちだったら嬉しい。







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