キミの前に夕焼け
スノーボールが完成し始めると、家庭科室に甘い香りが充満する。
そしてあたしも、恐る恐る自分が作ったスノーボールを見る。
「………」
微妙…。
食べられないほど失敗したわけではない。
だけど、これ食べたいか?
って聞かれたら、ちょっと……なレベル。
「うぅー…ん」
いくつかあるスノーボールのうち、ひとつ味見してみる。
「んー………」
そして、桃作のスノーボールも味見…。
「あっ、桜華勝手に…」
「うまっっ」
ダメだ、これは。
もっとおいしいのをあげたい。
もう一回作りたいけど、今日はもう部活終了で家庭科室は閉められてしまう。
体育祭の練習の後に部活だから、部活動時間がいつもより短いんだ。
そしてリレーに出たり応援団だったりする人は、まだ校庭で練習してる。
颯くんもまだ頑張ってるのかな…。