キミの前に夕焼け
「よしっ!」
本日2度目の決心をして、スクールバッグの中の財布の中身をチェックする。
「さようなら~!」
桃と家庭科室を出ると、まだ暖かい風が吹きつける。
「パスッ!」
「いけーっ!」
暗くなった校庭では、まだリレーの練習が行われている。
「わ、さすがに速いねー…、選抜メンバーだもんね」
「ねー…」
「桜華、颯くんとは会えてるの?」
そう聞いてくる桃に首を横に振って、今日はスーパーに寄って帰るからって言って別れた。
お菓子の練習のための材料を買いに行く。
「…とは言ってもなぁ……」
颯くんの好きなお菓子、知らないし。
何だろう?
苦手なものとかあるかな?
考えてみればあたし、颯くんの事あんまり知らないかも…。
今まではそんな事気にならなかったのに、会えなくなると急に不安になる。
「クッキーとか好きかな?」
クッキーなら、頑張れば作れるかもしれない。