キミの前に夕焼け




そしてクッキーの材料を買ってスーパーを出た時には、もう外は真っ暗だった。




「ん?メール…」



時間を確認しようと携帯を取り出すと、メッセージを一件受信していた。


受信:綾崎颯



その文字を見るだけで嬉しくなる。



《今、家着いたとこ。
桜華ももう帰った?
お疲れ!》



「桜華ちゃん?」



すぐ返信しようとすると、不意に後ろから名前を呼ばれて振り返る。





「水樹くん!」



バスケ部の王子様こと、水樹くんがいた。



「あれ、桜華ちゃんの家こっちだっけ?」




「ううん、ちょっと用があって……」




「もう暗いし、送るよ。家どこ?」




「え、いいよいいよ!」



「ダメダメ、あ、でも颯に妬かれちゃうかもな」



クスクス笑う水樹くん。



「や、そういう問題じゃなくて…」




「でも、俺が桜華ちゃんを1人で帰したって聞いても、それはそれで怒るだろうから、送る」




「…じゃあ、お願いします……」




「了解」





< 131 / 298 >

この作品をシェア

pagetop