キミの前に夕焼け



「あれは、地毛です。
生まれつきだって言ってました」



勇気を出して言い返すと、困ったような表情の先生。




「外見ばかり飾っている奴らは、ろくな大人にはならないぞ。


天野、付き合いたいだけなら、
もっと真面目なやつにしておけ」




諭すような先生に、あたしの中で何かが切れた。



「……ないで…」


「え?」



「颯くんの事、悪く言わないでください…!」



初めて先生に反抗したあたしに、“ほら見ろ、こういう悪影響が出るんだ”なんて言う先生。




何それ、何も知らないくせに。




「中学生が悪そうなやつに憧れるのは、よくあることだ。

でも本当に格好いいのは、しっかりしているやつだぞ」




「颯くんは…しっかりしてます。

バスケだって頑張ってる。


あたしのこと大切にしてくれる。
素敵な人です!」




何で颯くんの事、何も知らない人に言われなきゃいけないの。


良いところ、格好いいところ、何も知らないくせに。



見た目とか、関係ない。
悪そうな人に憧れてなんて、いない。


ただ、颯くんに憧れてるだけ。




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