キミの前に夕焼け


「はぁ…まあいい。
もうすぐ授業が始まるから、教室に戻りなさい」



「…はい」




背を向けて歩き出す先生を見て、涙を堪えながら教室に入った。



「桜華ちゃん!」

「ごめんね、ちょっと聞こえちゃった」

「アイツ最低だね!どんな恋しようが自由だよね」


心配そうに駆け寄って来てくれる友達。



「大丈夫?桜華」


桃も不安そうに聞いてくる。




「うん、大丈夫!

それに、あたしがしっかりしてないから、あんな事言われちゃったんだよ」




そう笑って、席に着いた。



そう、あたしがしっかりしてないから。


影響されたりしないって、信用してもらえてないから。




だから強く、ならなきゃ。




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