キミの前に夕焼け


そして、必要な材料を買ってスーパーを出る。




「…桜華」



重い方の袋を持ってくれた颯くんと並んで、傘をさして歩く。





見上げた颯くんは、なぜか悲しそうな表情で。




「……ごめん。
俺のせいで、先生に怒られたって…聞いて」




え…
何でそれ…?


あたしの心を見透かしたように



「桃ちゃんに聞いた」


と答えてくれた。



「本当ごめん…。
自分でも先生に目つけられやすいのはわかってるんだけど…。」



何で…。
何でそんなに悲しそうな顔するの。


あたしは大丈夫なのに。



「髪も、黒にするし」



制服もちゃんと着る、と言う颯くん。




「…バカ」




呟いたあたしに驚いたように振り返る、少し前を歩いていた颯くん。




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