キミの前に夕焼け


とりあえず歩き出したあたし達。



「えっと……ここが美術室で…、あれ?違うこっちだ」




2年も通っている学校でさ迷うあたしに、爆笑している颯くん…。



「桜華……よく今まで生活してこれたな…」



そう言いながらも、肩が震えている。

…笑いすぎだし。



「いつも桃について行ってるだけだから…」



桃と一緒に歩いてるから、迷ったりしないんだけど…。





「あれ、これ……」



颯くんがやっとたどり着いた美術室のギャラリーで、足を止めた。



何かと思って目線の先を見てみると。



「あ、」



あたしが美術の時間に描いた絵が飾られていた。

何人かの作品がギャラリーに飾られるんだ。




「天野桜華って……え、桜華だよな?」


「うん!」


「え、うまっ!すげぇ…」



驚いてあたしの絵を見てる。



「…もう次行こうよ~…」



あんまり見られると恥ずかしいし。


そもそもそんなに上手くない。




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