キミの前に夕焼け
「で、ここがあたしの教室です!」
いつも通りの教室だけど、誰もいないからいつもと違って見える。
「え、なんか俺のクラスより綺麗。
桜華の席どこ?」
「あそこ!」
指さしたのは、窓際の後ろから2番目。
特等席だ。
「えっ、マジ!?」
「うん?」
「俺、その隣だよ」
「えっ!?」
颯くんのクラスでの席は、後ろから2番目の窓際から2列目らしい。
「え、何かすごい!」
「ちょっと座ってみよ。
借りまーす」
そう言ってあたしの隣の席に座った颯くん。
あたしも自分の席に座る。
颯くんがいるだけで、いつもと違う景色。
「あー、同じ学校が良かったな」
「そうだね!教科書見せ合ったりしたい」
「ははっ」
「颯くん忘れ物多そうだもんね」
はぁ?と笑いながらガタンと机をくっつけた颯くん。
「見せてよ、桜華チャン」
「しょうがないなぁ」
置き勉していた社会の教科書を、密着した2人の机の間に置いた。