キミの前に夕焼け
思ったより近い距離。
「なんか…ドキドキする」
「お前…それ言う?」
あぁ、あたし達、違う学校で良かったかもしれない。
毎日こんなのが続いたら、あたしの心臓がもたない。
だけど、楽しい。
いつも通りの風景の中に颯くんがいたら、どんなにキラキラして見えるんだろう。
「桜華」
不意に呼ばれて振り返ると、優しく触れた唇。
「っ……!?」
「同じクラスだったらこんな事もできちゃうな」
「た、他校で良かった…」
「酷くないですか」
窓から差し込む太陽も。
音楽室から聞こえる吹奏楽部の演奏も。
グラウンドの野球部のかけ声も。
「…幸せだね」
そう呟くと、颯くんも
「そうだな」
って笑ったから、あたしももっと嬉しくなった。