キミの前に夕焼け
「……手、繋ぎたい…です…」
聞こえるか聞こえないかくらいの、小さな声。
あぁ、あたし絶対顔赤いよ。
恥ずかしくて俯いていた顔を、少し上げて颯くんの表情を見る。
「え、」
颯くんも、顔赤い?
慌てて顔を背けた颯くんは、
「っ……はい、」
と言って手を差し出してくれた。
その手を握ると、颯くんも握り返してくれる。
外が寒いのなんてちょうどいい。
赤い頬も、握った手も、全部が熱くて
冷たい風は、涼しくて気持ちいいくらいだ。