キミの前に夕焼け
勢いで来てしまった桜華の学校の前で、待つこと数十分。
校門を通る人たちに、ものすごく注目されてる気がして気まずい。
早く来ねえかな、ていうか、帰っちゃってたりしてないよな…?
不安になり始めた頃。
「颯くん!」
驚いた表情の桜華が駆け寄ってきて、思わず頬が緩む。
そうそう、これ。
この可愛い笑顔が、見たかった。
「クリスマス、デートしない?
…2人で」
帰り道を歩きながらした提案は、なんだか少し緊張した。
「…ビックリ、した」
「あぁ。2人きりでデート、したこと無かったもんな」
「違う、そうじゃなくて」
ふわり、と嬉しそうに笑った桜華に、ドキンと胸が跳ねる。
「同じ事考えてたことが、だよ」
「え…」
桜華も、思ってた?
それだけのことが嬉しくて、俺もつられて笑顔になった。