キミの前に夕焼け
何も言わずに、手を差し出す桜華の少し赤い頬。
その小さな手をそっと握って、また歩き出す。
こういうひとつひとつの仕草が、俺をドキドキさせて。
もっと、触れたいなんて。
こんなこと考えてるなんて知ったら、桜華は嫌がるだろうか。
誰にも渡したくない。
桜華の手の温もりを知ってるのは、俺だけでいい。
自分がこんなに独占欲が強いなんて、桜華に会うまで知らなくて。
目が合うと、ふふ、と微笑む桜華に。
こういう所がずるいんだよな、なんて、赤い頬を隠すように顔を背けた。