キミの前に夕焼け




「どうか、した?」


『んー……声聞きたくなった』





その言葉にキュン、としたけれど、すぐに心配になる。

颯くんからこんな時間に電話してくるなんて珍しくて。

私が思ってる以上に、颯くんは悩んでるのかもしれない。




「今、何してた?」


『寝れなくてベッドにいた』





寝れないんだ……。

こういう時って、どうしたらいいんだろう。


経験のない私にはよくわからなくて。






「…明日、シュークリーム作るんだ」



他愛もない話を選んでしまうのは、正解なのか不正解なのかもわからない。



『へえ、シュークリーム食べたい。

桃ちゃんの』



「……絶対颯くんにはあげない」



『はは、うそうそ。

どんなに失敗しても桜華のが食べたい』



「そんなに失敗しないもん!」





ははっ、て笑う颯くんに少しホッとして。

やっぱり笑ってるほうがいいなって、改めて思った。




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