キミの前に夕焼け
「あの、ごめんなさい!」
ベッドに座る水樹くんに、思いっきり頭を下げる。
「昨日、傘、貸してくれたのに…
嫌だったんじゃないの、なんかその…緊張してて、ビックリしたっていうか……!
あたしのせいで風邪まで引かせちゃって、嫌な態度とって、本当にごめんなさい」
しばらくの沈黙。
そして、少し息を吐いた水樹くんが、口を開いた。
「……あのさ、もしかして、だけど」
珍しく緊張したような口調に、顔を上げる。
「1週間くらい前の、俺とレンレンの会話…聞いてた?」
思いがけない言葉に、目を見開いた。
気まずそうに目をそらす水樹くんは、ぎゅっと布団を握りしめた。