キミの前に夕焼け
「……桜華ちゃんが、好きだよ。
気付いたら、ずっと。
もう押さえるのも、難しいくらい」
少し震えた声に、布団を握る手に。
あたしの目にも、じわりと涙がたまった。
だめ、あたしが泣くんじゃない。
「颯と、幸せになって」
やっとこっちを向いた水樹くんは、今までの笑顔とは違う。
眉を下げて、目を細めて笑うのはいつも通りだけど。
寂しそうな雰囲気はなくて、それは今まででいちばん、綺麗だと思った。