キミの前に夕焼け



今日もいちごショートケーキに失敗し、桃のケーキを食べながら下校。



そして、校門に見覚えのある人影を見つけた。





「桜華、あれって…」



「颯、くん…?」



小さな声で問いかけてみる。



「あ、桜華!」



茶色い髪が太陽に反射する。

蝉の声はいつも以上にうるさい。



「なんでいるの?」




「ここの体育館に忘れ物してさ。桜華にも会いたかったし、ついでだから待っててみた」



「そうなんだ」



『ついでっていうか、こっちが本命だったけどね…』


って真っ赤になって呟く颯くんに、胸がきゅ、ってなった。




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