キミの前に夕焼け




「自転車でここの道通るの、なんか久しぶりだね」






颯くんの自転車の後ろに乗って、夕暮れの並木道をゆっくり通り抜ける。


桜がふわりと舞って、夕焼けのオレンジがあたしたちを照らす。






颯くんに会えたから、みんなにも会えて。


颯くんを好きになれたから、恋を知って。


颯くんがあたしを好きになってくれたから、あたしは今こんなに幸せだ。





あの日、学校で、颯くんに出会えてなかったら。


颯くんが、あたしを好きになってくれなかったら。


颯くんが、告白してくれなかったら。



きっとあたしは今、こんなにたくさん
笑ってないと思う。




颯くんが、みんなが、あたしにキラキラした青春を教えてくれた。




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