横で眠る「あなた」【未完】
第23章
私は、理先輩のお母様の柚子さんに、気に入って貰う事に精一杯で、理先輩の表情まで見る余裕はなかった。
もしも、そんな余裕があったなら、先輩が何かを隠していると、気がついてたはず。

その日の夕食は、柚子さんが、作ってくれたので、豪勢なものになった。

お茶の後からの理先輩の浮かない表情は、気になって仕方かったけれど、聞くチャンスがなかった。
理先輩、一体どうしたんだろう?

夕食が終わって、理先輩が、私に「散歩に行かないか?話しがあるんだ。」と言った。
私は、頷いた。

理先輩と並んで歩き出して、しばらくして、意を決したように、理先輩が「実は、きみの前につき合った事のある子がいる。その子もここに連れて来た。その時も、母は今日のようにやって来た。」と言った。

「で、どうなったんですか?」と私は聞いた。

「母はその子が気にいらなかった。すぐに、帰してしまった。母の気性には、そういうところがある。」と理先輩は困ったように、話した。
「だから、今日、母が来ると言う時に本当はちゃんと話すべきだとは思った。
しかし、今まで、他の子とつき合った事がある事を話してない事に気がついたんだ。」と言った。

私は「もしも、私が前の彼女みたいに気に入って貰えなかったら諦めるつもりだったんですか?」と聞いた。
理先輩は、「今回は、何を言われても、諦めるつもりはなかった。僕が選んだ人なんだから、認めて欲しいと言うつもりだったよ。」と言った。
その言葉で、お母様が来る前に伝えてくれなかった事は、許そうと思った。

ただ、元カノって誰なんだろう?という事が気になった。
幼なじみの子なんだろうか?
そんな風にも思って、「元カノって誰か教えて貰っていいですか?」と聞いた。
理先輩は「いいよ。」と言い、「小枝子だ」と言った。

私は、ビックリした。小枝子先輩は、理先輩や奏先輩たちとも仲が良くて、理先輩と私の気持ちが本当に通じあった時、真っ先に「良かったね。」と言ってくれた人だった。
その小枝子先輩と理先輩が付き合ってた。
しかも、柚子さんが原因で別れた。

私にとって、小枝子先輩は、素敵な女性だった
決して、目立つタイプじゃないけれど、穏やかで、優しい人。
その小枝子先輩を何故柚子さんは、イヤだったんだろう?理先輩は、それで本当に良かったんだろうか?
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