牙龍−元姫−
でも、
「私の後を着けるのは、頂けないよ」
「うっ」
「結構怖かったし?」
「ううっ」
「一人だから余計心細いかったもん」
「ううううううっ!す、すいませんっす!!」
声かけるタイミングがわからなくて、そうあたふたするカン太。
でも絶対にカン太は追跡とか見張りとかは間違いなく向いていない。バレバレ。私にまでバレるようじゃ、不安だよ。
すみませんっす
すみませんっす
すみませんっす
すみませんっす
すみませんっす
何かの呪文のように繰り返すカン太が少し怖かった。
謝るカン太を見てどうしようかと悩む。だけど瞬時にあることを閃いた私は、罰を与える事にした。
「なら罰として私の家でご飯を食べて帰ること」
「…え?ご、ご飯でヤンスか?」
「あら。嫌なの?」
「えええ!ちが、違うっす!嬉しいっす!」
やったあああああああ!と叫びながら走り出すカン太。
ご丁寧にスーパーの袋も持ってくれる。私が重かった袋を軽々と。―――――成長したね、カン太。何だか子の成長を見守る親鳥の気分だよ。
まだ少しお話したいこともあったから、家に招待することにした。募る話もあるしね?
長い間、音信不通だったんだから話にお花でも咲かせようよ―――――――――でも1つ良いかな、カン太?
「私の家、逆だよ」
この日の1日は、とても長く感じた。