牙龍−元姫−
「よし!」
やっとセットできた髪の毛。
うん、バッチリ。私は遅刻しようが身嗜みは必ず気にかける。そうでもしないと女が廃る。
『―――。――――――――でわ今日の街角インタビューです、いま女子高生のなかで流行りのものを取材班は調査してきました』
………今日のメイクは諦めよう。いつもの星座占いの後に放送される街角インタビュー。これは確か『8:30』から。
ヤバい、時間がない。
私はアイロンを片付けもせずスクール鞄を寝室にとりに走る。しかし――――――――ない。
何でないのっ?
時間の無さと物の紛失率に泣きそうになる。
まず落ち着いて
よく思いだそう…
私は焦る気持ちを抑え、深呼吸し気分を整える
――――――――昨日はホワイトシチューを食べたながら、カン太と語り合った。
深い話をしたのは食事中だけ。食後はデザートにプリンを食べながらお笑い番組を観てたんだっけ?
漫才に詳しいカン太に私はいろいろ聞かされたけど、テレビを見ない私はよく分からなかった。