牙龍−元姫−
ついさっき久しぶりに会ったとは思えないぐらいに、私もカン太も時間を忘れるくらいに楽しんだ。


気づけば確か―――――――――1時ぐらいだっけ?そうそう。今から帰るのも…………ってなってカン太をお風呂に入らしたんだ。


上がったカン太は何時もの癖毛のワカメみたいな黒髪が湿っていて『海藻だね』って笑ったらカン太が拗ねた。



『ワカメじゃないでヤンス〜。酷いっす』

『大丈夫だよ?ワカメなんて気にならないって。カン太のチャームポイントはニット帽だからね。ニット帽ならワカメ隠れるよ』

『………フォローになってないであリンス』



フォローしたつもりだったんけど気に食わなかったみたいで口を尖らす。


カン太のチャームポイントはその年がら年中被っているニット帽だと思ったから誉めたつもりだったのにね。


それからは機嫌をとるのが大変だった。機嫌が直ったのは、確か――――――千秋だ。カン太が千秋の話をし出したんだ。
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