牙龍−元姫−
屋上を続くドアをあければ、晴れ晴れと青々しい蒼天が広がる。


空を見上げれば包み込むような大空。飲み込まれてしまいそう。







この屋上に来るのは久しぶり。意図的に来るのを避けていた。屋上は"始まり"の場所でもあったから。









――――私が初めて屋上に来たのは入学してから数ヶ月後の事だった。


屋上に続く扉には誰も近づこうとはしなかった。





 いつも、下から屋上を見上げていたんだ・・・

 何故かな?何でなんだろう?屋上に惹かれるのは

 一度でいいから入ってみたい
    


些細な好奇心と小さな冒険心が私の心で暴れる。私はその心を揺さぶられる気持ちに負け、






 いつの日にか、鍵を壊し扉を開けたんだ



しかし少し足を踏み入れると『好奇心に負けてなにやってるんだろ』無駄な嫌悪感に駆られた。



その日は 何もせずまま…



扉を閉めて後にした



    放課後の下校時、少し立ち止まり、屋上を見てみた。



何も変鉄もないただの屋上。



それに少し安堵した私は止めた足をもう一度進め始めた。
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