牙龍−元姫−
でも彼等と過ごした時間は私にとってかけがえのないものとなっていった。知らぬ間に彼等は私の日常の一部と化していたんだ。








―――――………と云うのも大分前の話。



こんな事なら1日1日を大切に貴重に過ごせば良かったかもね〜……



おふざけな毎日も楽しかったけど……






「…懐かしいな」


屋上も。屋上から見える風景も。屋上での出来事も。全部、全部、懐かしい。


前はこの屋上に頻繁に来ていた。


当たり前だけど彼らの溜まり場の一部と化している。今となってはこの屋上に来ることは普段ならあり得ない。


でも、この広がる大空を眺めたかった。



私は大の字になって地面に横になり伸び伸びと手を空に伸ばす。青い空には鳥が自由に飛び回っている。私も空を自由に飛びたいな…



ボーッと空を、ただ無意味に眺めている私。








だから気がつかない

足音に。



此処は彼らがよく来る場所。それを私は理解していたはず。なのに授業中、そして朝だから会う確率は極めて低いと油断していたのかもしれない。
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