牙龍−元姫−





「……おい」




鳥ってどうしてこんなにも自由なんだろ…


いつでもどこでも好きな時に自由に飛び回れる


鳥には"脚"はない。
鳥の"足"は翼だから。


人間は鳥にはない"脚"がある。好きなときに歩き回れるけど何処か鳥とは違う………





「…おい」





私だって自由になりたい


鎖に縛られずに全てを解き放ちたいな。

いつか私も鳥のようになれるかな?

鳥になるには翼が必要なのかな?






「おいってさっきから言ってんだろ」

「え、……きゃっ」




び、びっくりしたっ、



いつの間にか顔に影が掛かっていた。空は快晴。


なら何故?


それは戒吏が私の顔を除きこんでいたからだ。それも近い。あまりの距離の近さに驚いた。慌てた私はバッと直ぐ様起き上がる。




「なっ……」



何で居るの!?



思わず叫びそうになるのを必死に耐える。




ヤバい。


ヤバい。非常にピンチ……





戒吏を目の前で私を見ている。その無表情な顔からは何を考えているのか、さっぱり。


会ったのはドーナツ店以来。しかも会話という会話なんてしていない。気まずい、気まずすぎる…
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