牙龍−元姫−
「カン太は会いたいって思ってるよ、だって―――‥」
皆に憧れてるから―――――そう言おうとした私の言葉は続くことはなかった。
だって私が言う前に戒吏が悟ったから。それを聞いて反応に困ってしまう。
「何でお前にそんなこと分かるんだ」
「それは、」
それはカン太と話したから、そう普通に言えばいいのに言えない。私と会ったって知られたらカン太が何言われるか分からない。
昨日は偶々会っただけ。でも偶々ではなくて、頻繁に会っていると勘違いされそう。それに加えカン太は牙龍にも行っていない。
尚更言えるわけがなかった。
「何となく、だよ」
「何となく?なんでお前がカン太の事なんて気にかけるんだよ」
何故か今日の戒吏はやけに突っかかる。
今日、と言っても会話自体が久しぶりだから分からないけど。