牙龍−元姫−
第三者視点
【神楽坂高校】
名門私立高校で校風が良く偏差値も高く、より良い大学に入ろうとする者達の競い場―――――――――――だったはず。
今となっては‘神楽坂に’入りたいが為に受験する生徒が増えた。‘神楽坂に’お目当ての人物達が居るからだ。学問の為にではなく‘神楽坂にいる’人物に会いたいが為に神楽坂を受験する。
しかし何と末恐ろしい。偏差値は以前のまま。いや。寧ろ倍率が高すぎるため死ぬ気で勝ち上がった生徒ばかり居るせいか、偏差値は年々あがって来ている。
そのため。学校側も有難いことで多少の‘問題’も多目に見ている。‘問題’と言うのは倍率、加え偏差値を上げる原因となった彼等。
1年前に彼等〈牙龍〉が入学してきたのがきっかけだった。
〈牙龍〉は傍迷惑な暴走族で在りながらも、持ち合わせたカリスマ性で人々を魅了し惹き寄せる。
たまに警察もお世話になっているらしい。決して‘彼等が’ではない。‘警察が’だ。
何かの事件に協力しては感謝状を貰っている彼等。学校側も鼻が高く天狗になっているに違いない。