牙龍−元姫−
僕は三人から離れ、パックの葡萄ジュースをベンチで横になり眠る戒吏の頭の隅に置いた。
「空オレンジジュースくれよ。これと交換しようぜ」
「はあ?オレンジの方が断然いいし無理!」
「空はムキムキにならなくていいのかよ。色男になりたくねえの?俺みてえな色男になれるぜ?あわよくばムキムキじゃね〜の」
「む、むきむき……」
あ、
二人が悪魔のような顔してる。
ニヒヒって笑い声が聞こえてきそうな笑みだ。二人とも悪どいよ。空もからかわれやすいんだから、あんまり乗せられちゃダメだよ。
結局は最後、いつも喧嘩になって乱闘を止めるのは僕なんだから。溜め息をつかずにはいられない。少し離れたところから三人を眺めつつそう思う。
でも。
完璧に僕から思考が削がれたしいいかな?と思った。
探られそうな視線を向けられるのは流石に嫌だからね。でも言う気はないよ。
『響子に告白しちゃった』
――――……なんて言えるはずないからね。