牙龍−元姫−
哀観
(*)
今日はいつもより数段陽射しが強く1限から既に眠気に誘われた。当然の如く睡魔に耐えきれなくなった。
だから2限からは牙龍の面子数人と人口芝生のある中庭に移動しサボって昼寝をしていた。
3限終了の合図のチャイムが鳴ってからもそれは変わらなかった。―――――――――メールが来るまでは。
「庵さん?どうしたんすか?」
芝生に寝転びながら携帯を開いたまま固まる僕に気づいたのかスキンヘッドの奴が声を掛けてきた。
from.遼様
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コーラ頼むわ
あとアホ女が緑茶もだってよ
時間厳守な!
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時間厳守って何の時間?まず遼様とかあり得ないんだけど。いつの間に僕の携帯弄ったの?遼って入れてたはずなんだけど。
コーラと緑茶か…
所謂パシり、か。
「……あの、庵さん?」
いまだに反応せず黙る僕に遠慮気味に話しかけてくるスキンヘッド。周りで寝ている牙龍の面子数人のイビキが聞こえる。
「遼からだよ、メール」
「遼太さんっすか?なら自分が買って渡してきますよ!」
「僕が行くよ。他の奴まだ寝てるみたいだし、あと宜しくね」
芝生から立ち上がる。少し眠気でふらつくけど、パシられるのも眠気覚ましには丁度いいかな。
「了解っす!」
「うん、じゃあまた」
立ち上がり元気に話すスキンヘッドに片手を上げると背を向け歩き出す。
イビキをかきながら寝る数人の牙龍の面子を残し、僕は頼まれたコーラと緑茶を求めて脚を進めた。