牙龍−元姫−
《余談その2》
「寿々って何だっけ」
【元気のミナモト☆これで君もムキムキだ!】を手に持ちながら考える。どうやら緑茶と書かれていたメールのことは忘れたようだ。
んん?と悩む庵にハスキーな女性が声を掛かる。
「おお!そのドリンク買うひと滅多に居ないのにアンタ珍しいねぇ?健康に気を使っているのかい?なら此方はオススメだよ」
この神楽坂の売店に勤め約20年程。年配のベテラン店員の川上さん。通称‘オバチャン’として愛されている売店の看板マスコットキャラクター的存在。
「あお、じる―――青汁?」
「健康に気を使っているんじゃないのかい?」
青汁と読み上げ眉を潜めた庵に、首を傾げる川上さん。
健康か…
確か寿々は健康管理を誰よりも気を使っているし怠ってないよね?そう悩む。なら青汁も喜ぶよね?寧ろ頼まれたのは青汁なのかも――――――見事に勘違いした庵。
結局青汁を買う人は珍しいからと川上さんに無料で貰ったのだった。
【完】