牙龍−元姫−
黒猫注意
――――――こうして、
冒頭に戻る。
こんなときに絡んできた奴等は、運がない。機嫌が最高潮に悪い俺はもう誰にも止められない。
悪いけど気を鎮めるための玩具になってね。
(*)
「こ、こいつ髪の色違うけど鬼神の―――――‥ぐはッ」
顔面を容赦なく殴り付ける。痛々しく地面に叩きつれられた哀れな男。喧嘩に合図なんていらないよね?
俺は悪くない、油断していたお前の責任。自業自得だ。
「お、おい大丈夫か!?ってめえ何しやがんだ!」
「まっ、待てよ!いま鬼神って――――‥」
怒りを露にする男。【鬼神】と聞き慌てて男を宥めるのは倒れた奴の仲間。それが正しい判断、恰もそう言うように薄ら笑いをする。
「へぇ。俺のこと知ってるんだ?」
「鬼神の風見か!」
違う男が叫ぶ。確かに風見は俺。でも間違いがひとつある。【鬼神】ではないよ?――――――もう鬼神はない。【冬】が消したから。
いま目の前に居るのは123―――――――6人か。微妙だね、もっと多くてもいいんだけど。つまらない。
「ヒィ!に、逃げろ」
「ま、待てって!一人だぜ?俺達は6人だ、勝機はある。ボコボコにしてやろうぜ?」
慌てて逃げようとした6人中3人に制止をかけたのは、逃げようとしなかった残りの3人のうちの1人。残りの二人は足がすくんで動けなかった、というところかな。