牙龍−元姫−
魔の第2生物室
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ふと昔喧嘩別れしたあの子は元気かと思った。「空は繋がっている」そう言った先生の言葉を思い出す。窓から見えるのはどんよりした曇り空。薄暗い空は少し無気味。
早苗が見ている空もこんなに濁っているのかな?――――‥早苗を思い浮かべて、いま彼女の瞳に映るものを考えてみた。
「‥―――――てめえ聞いてんのかよ!!」
感情に入り浸る私の目の前にいる女の子が怒鳴り散らす。
…………忘れてた。
少し感傷的になっていた。こんな事を思い出すのもこの状況だからだろうね。早苗もこんな気持ちだったのかな?
「調子乗るのも大概にしやがれ!」
「ユミの彼氏とっといて詫びもなしかよ!」
ユミと呼ばれる子と友達らしき2人の神楽坂の制服に身を包んだ女子生徒。私と一緒の制服とは思えないくらいに着こなし方が違う。
彼女達はギリギリ「神楽坂かな?」とわかるような制服。自分でアレンジしているみたいだ。里桜でもここまで酷くはない。スカート丈が短いなんて可愛いらしい程度。上には上がいるんだと熟思った。
「お前なに人の彼氏に色目使ってんだよ。あ?」
まるでチンピラに絡まれたときのよう。端から見ればカツアゲと間違われそう。
―――――数分前3人の女子生徒に人気の少ない第2生物室へ呼び出されて今の現状に至る。
「取った覚えも貴女の彼氏さんの事も知らないです」
「はあ!?嘘ついてんじゃねえよ!」
ユミさんの友達が私に詰め寄が、ユミさんが彼女達を制する。意外な行動に少し目を見張った。今にでもボコられるのかと思っていたから。
私は壁に背を預け前に立つ3人に囲まれている。威圧感が半端ない。3人の女子生徒が背が高いのか又は私が低いだけか――――――――――見下ろされる形で睨み付けられ萎縮してしまう。
ユミさんは乱暴に私の胸ぐらを掴んだ。3人はしていない神楽坂の指定リボンが取れそうな状態。
「タカシがお前のことスキだっつてんだよ。心当たりは?」
「……ないです」
「嘘つくなよ?次嘘ついたら殺すぞ」
ドスの利いた声でいい放つ。女性にしては凄みのある声でたじろいでしまう。ユミさんは端から私の言い分なんて聞くつもりはないらしい。私が"タカシさん"に色目を使った。だからさっさと自白しろ。そう言いたいらしい。
でも私は本当に心当たりがないから自白は出来ないのに―――――――‥