牙龍−元姫−




返答に困ってまごつく私に寿々ちゃんは言い放った。



それは、いつの日だったか――――――‥



似たような聞いた事のある、



言葉だった。











「アタシが友達になりたかったからっ!だからあの時から既に友達なんだよ?」



彼女が彼女と被る。



『友達になるのに合図なんて居るの?仲良くなりたいと思ったときから友達なんだって』



寿々ちゃんが彼女と似ている。





「(………早苗)」





寿々ちゃんと早苗が被って見えた。


錯覚だと分かっているのに懐かしい気持ちに駆られてしまう。





「なら!なら今から友達ね!」

「―――‥いまから?」





突然の申し出にキョトンとなる。





「そう!今から友達!これならいいよね。ね?響子ちゃん!」

「……う、うん」





強引に言い張りグイグイと詰め寄って来る寿々ちゃん。



こ、こんな友達の成り方あるのかな?



―‥‥一瞬だけ過った不信感を拭う。不信感よりも冒険心のほうが強かったから。



彼女に身を任せてみたくなった。



友達の定義なんか無いなら、こんな≪お友達の始め方≫も有りだよね?
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