牙龍−元姫−



「凛々しくて逞しくて」



だれ?



もしかして牙龍のなか?



逞しいなら空は省かれるよね?



「Sッ気があってワイルドで」



S?蒼衣?



ワイルドなら庵じゃないよね。



「優しくて笑顔が宝石みたいで…」



あ、違う。



蒼衣に謙虚さなんてない。



笑顔…



だったら、この時点で戒吏は論外だね。





「………」





なら残るはあと1人…



遼太しか、いない。





「ふふふ〜ん!実はぁ〜」

「……」





ダッ!!





「ぐへへ………ッて、






ええええぇぇぇええ!?響子ちゃん!?どこ行くの!?」

「トイレーッ!先に帰ってて!」

「『トイレに行っトイレ〜!』なんちゃって〜!







……笑えねえええぇぇ……」





遠くで自分の親父ギャグのつまらなさに落胆している寿々ちゃんがいる。それを気にも止めず私は真っ暗な廊下を走り続けた。


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