牙龍−元姫−







「……っはあ」


自然と止めていた息を吐き捨て私は崩れ落ちる。震える足が脆く、地に膝がつく。



最後、赤い人と瞳が合った瞬間から息を止めていた。



なぜか、息を吸うことに戸惑った。


空気を揺らしちゃいけない。瞳を逸らしてもいけない―――――――――何故かそう思った。






痛む身体に必死に堪え忍ぶ。



軋む体に耳に鳴り響く音。凄く頭が、痛い。



ズキズキ、
ガンガン、
ギシギシ、



ありとあらゆる処がもう限界に近いのかもしれない。不安定だった精神も赤い人にあって崩壊気味な様子。





―――――だれか





こんな暗い路地、誰も来る筈ないのに助けを求めてしまった。



痛くて痛くて、


全部が痛くて本能的に―――――――――瞳から涙が零れ落ちた。



あの映画のように誰にも看取られずこのまま静かに息を引き取るのも悪くない、弱っている私はそう思ってしまった。



しかし、静かに目を閉じ思考をシャットアウトする前に微かに見えた人物。



何でここにいるの…?



霞みボヤける瞳から見えた人物に動揺した、



でも薄れ行く思考に私の意識は



──────ぷ つ ん




( ここで、途絶えた )
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