牙龍−元姫−



リピートされる


“赤い人”の詞。



春は



紅く、



歪んでいた。




その紅い歪みは私を侵し食い込む毒のようだ。






(………怖い。)





紅い人が?





(―――違う。)





まるで私が“野々宮響子”ではなくなってしまう押し潰されるような圧迫感が、怖い。




もう一度リピートされる詞。
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