牙龍−元姫−



興奮が押さえきれない。プルプルと手を震えさせながら小銭を自販機にいれ、ボタンを押した。



――――ガコン



アタシは出てきたパックのイチゴミルクを手に取ると桃子ちゃんに差し出す。


イチゴミルクを見た桃子ちゃんは戸惑いながらも両手で受け取ってくれた。そしてイチゴミルクを胸元でキュッと握り締めると、





「ありがとう」






―――――鼻血がでそうな可愛らしい笑顔で微笑んだ。




は、華が見えているのはアタクシの幻覚かしら〜?きっと【天使の微笑】とはこの事。


お礼を言うのは完璧アタシの方だよね?まさか桃子ちゃんが神楽坂にいるとは思わなかったあああ!神楽坂がキャッホ―――イ!ここに入学して良かったあああああ!





―――――――ここですんなり帰ったほうが格好いいよね?

くうぅぅ!名残惜しいが、引き際も肝心だ。アタシのゲームで鍛え上げられた経験値がそう語る。
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