牙龍−元姫−
「おいカン太!ピザ頼んだけどよ〜。――お?ミキ郎も居んのか!二人ともピザ食うか?」
――――――突然。じゃらじゃらと耳にピアスを付け緑色の髪をした牙龍の先輩が聞いてきました。手にはピザが入っている箱を幾つか持っているようです。
相変わらず厳つい顔をしながらも牙龍の方は皆さんは心優しいです。
――――カン太君を見つけて僕も見つけてくれました。僕はいつもついでです。これが普通なんです。
幼なじみのカン太君は明るく誰にも優しいです。だからいつも輪の中心でスポットライトを浴びてます。
カン太君に降り注ぐスポットライトがカン太君の横にいる僕にも当たり、僕も漸くステージに立っていると把握されます。
カン太君には感謝しています。
それは目立たない冴えない僕でも仲良くしてくれるからです。
「ミキ郎?食べないでヤンスか?このシーフード上手いっす!」
モグモグと口を動かしピザを両手に頬張っているカン太君。喉つまらせちゃいますよ?
「ぼ、僕はいいです」
「ミキ郎は相変わらず食が細いでヤンスね〜。オイラはもっともっと大きくなって総長に近づきたいっす!あ。あと千秋君にもっす!」
「―――――」
“食が細い”僕と同じ、
“食が細い”あの人は、
カン太君のついでとかも関係なく冴えない僕にいつも優しくしてもらいました。
とても優しい優しい人でした。
本当に本当に愛されていた人でした――――――――響子さんは。