牙龍−元姫−




カン太君が響子さんの家に行ったと聞いたとき、ビックリしました。でも響子さんが元気そうで良かったです。



実は、神楽坂に入学してから響子さんを見かけたことがあります。―――――――――白雪のように白い肌に桜色の頬。綺麗な栗色で触れたくなるようなフワフワの髪質。その柔らかさが響子さんにピッタリだと思いました。あの人は目を奪う何かがあります。相変わらず童話から出てきたお姫様のように綺麗な人でした。



響子さんの隣にはゴールドベージュ色の髪をした化粧が濃い女の人がいました。多分響子さんと親しい人だと思います。響子さんが優しげに笑っていたからです。



その周りにいた人は取り巻きのひとでしょうか?――――やっぱり響子さんは目立ちます。



何処にいても、やはりあの人気も衰えていないようでした。流石です。



話しかけようとも思いましたが、それはしませんでした。




(見えなさそうですけど)紛いなりにも僕は牙龍だからです。



極力、牙龍は響子さんと関わらないようにしています。



これは暗黙のルールとなっているようです。
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