牙龍−元姫−
カン太君は目をうようよ泳がせ、何かを言うのを躊躇いながら口を開け閉めしています。
ぱくぱくと開閉する口に笑いそうになります。
カン太君、魚みたいです。
と言いたいところですけど、今はそんな冗談言える雰囲気ではありません。
「戒吏さんたちは知っているんでしょうか?」
カン太君の言葉を代弁しました。
一応、こんな僕でもカン太君とは幼なじみなので言いたい事は大体理解できます。
「……わ、わからないっす」
「多分知ってる筈だと僕は思います。“学校に行ってたら”の場合ですけど」
「な、なんでっすか!?なんでミキ郎は分かるでヤンスか!?」
「落ちついて下さい。ついでに声を下げて下さい」
聞こえます、そう言うと慌ててカン太君は口を閉じました。
それに僕は一安心しました。
ビビりな僕は先輩に睨まれると死んでしまいます、怖すぎて。
なんで戒吏さんたちが知ってる筈だと分かったかですか?簡単です。
―――――戒吏さんと蒼衣さんと庵さんは、響子さんと同じクラスだからです。
「…………」
「……カン太君?」
「……え、」
「…ええええええ!!??」