牙龍−元姫−
〔ちゃらららら〜んちゃらら〜〕
次回の放送のテロップが出た直後、アップテンポのエンディングが流れ出す。
この番組はリアルタイムで見ているためソワソワしていた。先週の続きが気になって仕方なかった。
やっとアキラ君がキョオコちゃんに告白したと思えば何だかよく分からない展開になってしまった。
新展開すぎるよ!ナガレ君って誰なんだろう?たぶん新キャラだと思うけど、まさかこのままナガレ君落ちとか!?アキラ君が不備すぎて仕方ない…
ふつふつと沸き上がるナガレ君への怨み。
思わず“私達”は“ナガレ君”を睨み付けてしまう。
「………」
「………」
「……え、ちょっとなに?なんで俺様睨み付けられてんの?」
私のベッドで寝転がっていた“ナガレ君”は取ってつけたような慌て方で言う。全てが嘘っぽいこのヒトは“ナガレ君”にそっくり。
「おい流。俺はお前に失望した」
「だからなに!?」
私と同じく少女漫画に掲載されていたコミックのアニメを見ていた“アキラ君”が悲しげに首を横に振る。
「お前には見損なった…!もうすぐハッピーエンドだったのによぉ!誰だよナガレって!いきなり出てきた癖にキョオコをかっ拐いやがった!つかマジ誰だよナガレ!」
そう言って私のテディベアを殴り付ける。
正直テディベアが可哀想だから止めてほしいけど、私も同意見だから口を挟まず俯いた。