牙龍−元姫−
続・ある日の深夜〜愚民〜
―――――静粛。
(みみが、いたいほどの)
それを切り刻むかのように嘲笑うかのように。愉快だと謂わんばかりに――――――――ワラッタ。
「あは アハハ はははははは ! ふはははは ハハハハハ !クククくクッ ヒゃはははは! ハハハはハは !!」
ただワラウ“片桐さん”
いったい痛みは何処へ行ったのやら、ゆらゆら立ち上がりました。
揺らめきながらユックリとした動作。足元はお没いています。
笑い声が不愉快だと謂わんばかりに眉を顰める遼太さんに蒼衣さん。そして、穏和な庵さんまでもが不愉快さを露にしています。
空さんに至っては立ち上がる“片桐さん”を睨み付け今にでも殴りかかりそうでした。
ただ、戒吏さんだけは無頓着。
「―――――――あーあ。バレちまったよ〜。やっぱ慎にバレたのが仇となっちまったぜ。謝った事にしたのに何でバレちたんだァ?だいたい謝るわけねえだろうが!あの野郎“謝れ!”なんて怒鳴るんだぜ?こんな奴らの何処がそんなに良いんだよ」
ぼそぼそと自問自答を始めた“片桐さん”
たとえ小声だとして静粛なこの場所ではハッキリと聞こえます。
…………僕は“片桐さん”が怖いです。ビビりとか関係なく生理的にどうやら受け付けられないようです。
僕と“片桐さん”の距離は確かに遠いです。だけど一本線上に立たされてしまったような錯覚に陥りました。息苦しくて窮屈です。
「俺はなァ〜?
テメエが気に入らねえんだよ!」
真ん前に立ち戒吏さんを睨み付ける、前牙龍副総長・片桐豪。