牙龍−元姫−




――――――わたわたと会話する私たちの横で里桜が輝君のバイクを蹴っていたことは知らない。



「バカじゃないの?東にバイクで来るなんて。バカ?あんたバカなの?やっぱり生粋のバカね。」

「バカバカ言うな!何回言うんだよ!お前がバカだ!いま警戒が違うほうに反れてるから簡単に走れんだよ!」

「ふん。」( がんっ )

「あ゙ー!なに蹴ってんだよ!俺の相棒に傷を付けるつもりか!」

「気に入らないわ。あんたなんてちんたら歩いて来ればいいのよ。とりあえず退きなさい。私が運転してやるわ。」

「はあ!?なに言ってんだ!乗せるわけねぇだろうが!お前は流のケツに乗れ!お前を乗せたら100%事故る!」

「煩い!口答えしてんじゃないわよ!白目剥くまで転がしてやる!あんたは私の後ろよ!」

「させるか!」



今日に限って東街までバイクで来れた疑問に私は気付く事はなかった。“たまたま”だと思っていたから。そんな筈ある訳ないのに…
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