牙龍−元姫−

【NOEL】

ガヤガヤとざわつく華やかな繁華街。親子友達恋人、様々な人の出入りで賑わいを見せている。



しかし夜になると一変――――――――危ない街へと切り替わる。暗い街に光るきらびやかな店の灯り。人々は快楽・娯楽・快感を求め夜のネオン街へと足を進める。



そして刻は放課後。



そんな繁華街に私は千秋と制服のまま足を運んでいる。でも、






「そこの美男美女のカップル様!今日はカップルdayの為、半額とお安くなってますがいかがでしょうか〜?」





私と千秋は断じてカップルじゃないです。





「へえ〜、どうしよっか?」

「結構です」





カップルを装い態とらしく悩む仕草をする千秋の腕を引っ張り、私はスタスタと早足で歩く。






「もうっ、千秋!何であそこで悩むの?これで何件目!?」






そう。繁華街についてからカップルと間違われては声をかけられ、中々繁華街の入り口から進めていない。そしてイチイチ千秋がそれに受け答えするから尚更。






「だって響子センパイと俺お似合いのカップルみたいだし」

「カップルじゃないよっ!」






先ほどからカップルと何度も言われて機嫌をよくする千秋。私からしてみればいい迷惑でしかない。
< 40 / 776 >

この作品をシェア

pagetop