牙龍−元姫−
「…いいよ。許す」
「え、まじ?」
「うん」
「もう1回したい?」
「…やっぱり許さな、」
「あー!ごめんって!」
慌てて顔の前で両手を合わせ謝る緑川君に苦笑い。
普段は苦労人で確りしてるのに、こう言うときはお気楽でお調子者と呼ばれるゆえんが分かる。
すると
(トントントン―――‥)
階段を下りてくる音が聞こえてきた。
「響子〜?流〜?」
遅いと思ったのか里桜が顔を出す。
「あ!紅茶!やっぱり良い薫り〜」
パタパタとキッチンに駆け寄ってくると紅茶を香を聞く。
一言二言言葉を交わしたあと里桜の部屋に戻る。
そしたら屍のように横たわっている輝君がいた。里桜が足蹴にしたのは見なかったことにしよう。