牙龍−元姫−
時計をみると15:30。
あ、
と有ることを思い出して再び里桜の部屋を出ようと声をかける。
「あ、私帰るね。」
は?と3人が私を凝視した。
「千秋と待ち合わせしてるの」
「はあ?アイツ何様?弟のくせに生意気だわ。私と響子の時間を邪魔するなんて」
怒りからか、ガタガタとコップを置いたトレーが震えている。
それに素早く危険を察知した緑川君は里桜の手からトレーを奪い、テーブルの上に置いた。
「ま、いいわ。気をつけてね」
にこやか私に手を振る里桜。
そして一変。企んだ笑みを浮かべてDVDをセットし始める。
そのDVDはまさか―――‥。
と2人が青ざめる。
「さあアンタ達ビリーズブートキャンプをするわよ!」
『やっぱり―――!!』
死んだ魚のような目をする2人。
「…や、俺様ってば響子ちゃんを送らなきゃいけないから」
「響子なら千秋が居るんだから!そんな事よりビリーよ、ビリー!さぁ今日も意識飛ぶまで踊るわよ!あ、2人は5キロのパワーアンクル付けてね?」
「「5キロ!?」」
目を白黒させながら叫ぶ2人。
徐々に付加がかかるパワーアンクル。
里桜がビリーズブートキャンプに嵌まりはじめた頃は1キロだったのに、確実に増え続けている。
毎度付き合わされている2人は逃亡を謀ろうとするたび失敗に終わっている。
この間私もやったけど次の日筋肉痛になった。
あれを笑顔でやる里桜は凄いと思う。もともとヒップホップが好きなせいもあるけど。